2009年6月21日日曜日

犬と猫と人間と


先週、友達に誘われて、久しぶりに映画に行ってきました。
飯田基晴監督のドキュメンタリー映画「犬と猫と人間と」
このタイトルから、わたしたちはどんな内容を想像するでしょうか。
ペットと人間とのかかわり、それもよい面ばかりではない、殺処分とか遺棄とか、ブームの陰に隠されている面も描かれているんだろうな~と、想像するわけです。
うちの子たちはそういう陰の面に身を置いたことのある子だから、身につまされて号泣せずにはいられないだろうな・・・映画館でみっともなく大泣きして、友達を困らせるようなことになったどうしようと思いつつ、会場へ向かいました。
この映画は、役者さんはひとりも出てこない、実際にその場にいる人とペットたち、実際の出来事、それに監督のナレーションでつづられています。
そもそもの始まりは、捨て猫の世話をしているあるおばあさんが、飯田監督のもとに「可哀そうな犬や猫たちを減らしたいから映画を撮ってください」と現れたことでした。
「わたしでいいんですか?」
動物に関して特に詳しいわけでも思い入れがあるわけでもないのにと驚きを隠せない監督に、
「ええ、ええ、いいんですよ・・・でも誰でもいいってわけじゃなくて、あなたならと思ってお願いしているんです。」
と、おばあさんの答えは不思議な確信に満ちていました。
そんな不思議な始まりの映画です。
もちろん、中には殺処分の映像や、保護の難しさも映し出されていて、生易しい内容というわけではありません。
犬や猫は、人間に翻弄され、常に生と死の選別の運命を背負っているんだってことに否応なく気付かされ、それがまたショックなのですが、そんな過酷な運命の中でも、ときにほのぼのと、ときにたくましく、淡々とけなげに生きている姿は、残酷というのとは違うように思えます。
それでも、目に焼き付いてしまったシーンがいくつかありました。
保護される犬・猫たちは、たいていが去勢・避妊されます。
ひとつは、明日にも生まれそうなほどおなかの大きいお母さん猫が、おなかを切られ、取り出された子宮の中に子猫がかすかに動いているシーン。
ふたつめは、子猫の殺処分。
顔を隠されておなかに注射を打たれます。
鳴き声は聞こえませんが、注射が打たれた瞬間、子猫はぎゅうと小さな体を縮めるんです。
それから、徳島県の愛護センターでの犬の殺処分。
殺処分して焼く施設を建設するというとどこも建設拒否にあう、だから移動中のトラックに中で炭酸ガスによる処分を行いながら焼き場に移動、焼き場に到着した頃にはトラックの中で処分が完了しているというシステム。
そのトラックは、システムを稼働させながら、市街地を走っていきます。
もちろん、そんなトラックが他の車と同じように街を走っているなんて誰も気づきません。
これらは、どれもやはり残酷です。
だけど残酷なのは犬猫の姿じゃなくて、人間の心なんですよね・・・わたしたち人間という生き物の残酷さ、強欲さ、身勝手さを、わたしたちは知るべきですね。
ハッピーエンドの映画ではありません。
でも、絶望的だったり、美談があったりするわけでもない、犬や猫を描きながら人間が見えてくる映画です。
観ていて怒りや涙はありましたが、わたしは映画に登場する動物たちのように、ひたすら淡々と、観続けていました。
上映終了後、飯田監督に直接挨拶する機会を得ました。
この映画がたくさんの方・・・動物が好きな方も、そうでない方も・・・に観られるよう望みます。
秋から新宿をかわきりに各地でロードショーが決定しているとのことなので、詳細またこの場で紹介してまいります。
さいごに、この映画ができるきっかけとなったおばあさんですが、完成を待たずして亡くなりました。
わたしはどうもこのおばあさん自身が猫だったような気がしてなりません。
おばあさんを見ていると、どういうわけか白地に耳のあたりに小さな黒ぶちのある老猫のイメージがわいてきます。
なんだか捨てられた猫たちの思いが、おばあさんというカタチで訴えかけてきたような・・・
そんなおとぎ話みたいな感じがしてならないのです。

3 件のコメント:

あいら さんのコメント...

先生お久しぶりです。

静岡でも上映されるのかな?
観たいような観たくないような…
気になる映画なのでまた詳細がわかりましたら教えてください。

satomi さんのコメント...

お久しぶりです~。
ブログさぼりっぱなしで…見ていてくださったんですね。
映画の情報が届きましたらまらアップいたします!

Ganache さんのコメント...

あまりにもショックなシーンが含まれているようですね。
でも、それが現実。。
興味の無い人ほど見て欲しいですが、そういう人は、なかなか見てくれないでしょうね。