2008年11月7日金曜日

遺伝子のスイッチ

ご無沙汰でした。
新しい製品の情報や講座のことなど、いろいろご報告しなければならないことがあったのですが、ブログを開くのができずにおりました。
ここにお仕事のことだけでなく、犬との生活なども綴っていて、初めて綴るのがつらいことが訪れたからです。

1か月ほど前、アイリッシュのはなちゃんの右顎に、ごりっとする塊があるのに気付きました。
リンパ腺が腫れている・・・どうしたんだろう、顎のあたりは毎日触るところなので、突然触って分かるものができたのはおかしいねと、次の休みに病院に連れていくことにしました。
まさかリンパ腫じゃないよね、と思いながら。

ところが、獣医さんの見立てではリンパ腫の可能性があるとのこと。
できるだけ早く切除・生体検査をということで、血液検査してみると、白血球の数値が異常に低く、このままでは全身麻酔が難しい状態でした。
1週間抗生剤を飲ませて、ふたたび切除のため血液検査をすると、白血球の数値は改善しましたが黄疸の傾向が・・・やはり麻酔はかけられません。
今度は胆・肝改善薬に変えて1週間、このあたりから、下痢が続くようになりました。

3度目の正直と訪れた翌週、白血球の数値はまた下がり、肝機能もあまりよくない、他のリンパ節にも腫れが見られたので、全身麻酔での切除は断念し、ニードルバイオプシーに切り替え、最新の遺伝子検査を受けることにしました。
この検査ではリンパ腫かどうかの診断のほかに、T細胞系とB細胞系どちらのガンであるかがわかり、その後の治療の方針が立てやすくなるということでした。
とはいっても、十中八九リンパ腫であることは、この時点でもうわかっていました。
我が家にある何冊もの獣医学本にも、ネットに出回っている情報や飼い主さん闘病日記などでも、はなちゃんのガンは疑いなく、治療法や経済的なことや余命までも、獣医さんのお話を伺う前に察しがついてしまいます。
数日のうちに食が細くなり、食べさせるのに苦労するようになりました。
高脂肪・低炭水化物がガン療法食の基本ですが、本来なら嗜好性の高い脂肪類も、あまり食べてくれません。
これはきっと遺伝子のスイッチが入ってしまったに違いない!
何とかしたいのにどうすることもできない、はなちゃんがいなくなったらどうしよう???この不安な気持ちは言葉には表しきれません。

昨日、正式にリンパ腫である旨、告知をうけてまいりました。
覚悟はしていましたが、飼い主としてはたいへんつらい宣告です。
そしてすぐに、今後どのような方針で治療にあたるかを決めなくてはなりません。
「何もしなければ年内もたないでしょう。でも何もしないと決める飼い主さんもいらっしゃいます。」
何もしないでこのままはなちゃんを逝かせてしまうことはとうていできない、でも無理な延命はせず、できるだけ普段の生活を一緒に送れるよう、痛みや苦しみを少なくしてあげられるよう、わたしたちは望みました。
不思議とはっきりした診断がされたことで、今までのもやもやした気持ちが薄れ、飼い主として進むべき方向が自覚できたように思いました。
心も体も満たされるように、はなちゃんの介護をしていきたいと思っています。

ごはんをモーレツにがっついて食べるはなちゃんに、なんてお行儀の悪いことかと、仕事中でもトイレでも、どこでも金魚のフンのようについて来て、なんてお邪魔虫なんだろうと、半ば困っていたことが今見られないのは、寂しいです。
でも、毛並み良く、見た目はピカピカ、お散歩に行ってもこの子がガンだなんてわかる人はひとりもいません、今のところ・・・

飼い主なら誰でも避けて通れない・・・ はなちゃんには、犬のこと、人間のこと、命のこと、いろいろと気づかせてもらってきましたが、今そのことを知らせてくれています。
わたしたちははなちゃんがうちに来てくれて本当によかった、その気持ちは今までも、これからもずーっと変わりません。


わたしがこのことで不安になっているとき、心強い言葉をかけてくださったまわりの皆様に心から感謝申し上げます。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

なんかあまりにも突然で言葉が出ません。こういうと時の選択はすごく難しくて何が正解かわからないけど、ハナちゃん、毎日幸せに穏やかに過ごしてほしいです

匿名 さんのコメント...

なんと言っていいのかわかりませんけれど。。。動物達は将来を悲観したりしないのですよね。現状を受け入れ今できることを精一杯普通にするだけ。はなちゃんと過ごす「今」を大切に楽しんであげてください。はなちゃんの今後が充実したものになることを願っています。

匿名 さんのコメント...

先日は、メールでのご報告ありがとうございました。
その後、はなちゃんはいかがですか?
手作りゴハン。食べてくれているかな。
・・・優音も年末から年明けにかけて大きな戦いが始まることになりました。
『これ以上の外科的処置はしない』と決めていた私でしたが、はなちゃんと里見先生に勇気をもらったような気が今、しています。
・・応援しています。いつだって。